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レッスン 1 / 7

AIコーディングとは?

所要時間 20分無料で見られます

学ぶコト

  • 補完・チャット・エージェントの違い
  • 主なAIコーディングツール(2026年10月時点)
  • AIと組むときの自分の役割
  • このコースで作るもの

このコースでは、AIのコーディングエージェントに指示を出して、小さなプログラムを作ったり直したりする方法を学びます。

最初のレッスンでは手を動かす前に、AIコーディングの道具がどう変わってきたのか、いまどんな道具があるのか、そしてAIと組むと自分の役割がどう変わるのかを確認しておきましょう。

AIコーディングの3つの段階

AIがコードを書く手伝いは、ここ数年で大きく3つの段階を経てきました。

1. 補完:書いている途中で続きを出す

エディタでコードを書いていると、続きの数行を薄い文字で出してくれる仕組みです。2021年に登場した GitHub Copilot で広まりました。気に入れば Tab キーで受け入れ、いらなければそのまま書き続けます。

書くのはあくまで自分で、AIは「先回りして提案する」役です。

2. チャット:会話でコードを書いてもらう

2022年末の ChatGPT から一気に広まったのがチャットです。「pandas で月ごとに集計するコードを書いて」と頼むと、まとまったコードが返ってきます。

ただ、チャットのAIはあなたのパソコンの中を見られません。データの列名や今のコードは、自分で貼り付けて説明する必要があります。返ってきたコードをコピーして動かし、エラーが出たらまた貼り付けて聞く。この往復は人の仕事でした。

3. エージェント:ファイルを読み、コマンドを動かし、自分で直す

いま主役になっているのが、コーディングエージェントです。作業するフォルダの中で動き、次のことを自分で進めます。

  • フォルダのファイルを開いて読む
  • コードを書き、ファイルを直接書き換える
  • ターミナルのコマンドを動かす(スクリプトの実行、ライブラリのインストール、テストなど)
  • 結果やエラーを読んで、また直す

チャットのときに人がやっていた「貼る・動かす・エラーを伝える」の往復を、エージェントが自分で回すわけです。

補完チャットエージェント
コードを書くのは人(AIが続きを提案)AI(人が貼り付ける)AI(ファイルを直接書き換える)
ファイルを読むのは開いているファイルのまわり人が貼ったものだけAIが必要なものを自分で開く
動かすのは人人AI(人が許可する)
人のおもな仕事書く説明して貼る頼む・確かめる・決める

エージェントは何をしているのか

たとえば、売上のCSVがあるフォルダでエージェントに次のように頼んだとします。

data/sales.csv を店舗別・月別に集計して、結果を折れ線グラフにしてください

エージェントの画面では、おおよそ次のような流れが進みます(表示はツールや版によって違います)。

● data/sales.csv を読みます(36行。列は date, store, category, product, price, quantity)
● analysis.py を作ります
● python analysis.py を実行します        ← 実行してよいか、あなたに確認が出る
● エラー:KeyError 'Date'。列名は小文字の date でした。直してもう一度実行します
● 集計できました。グラフを output/monthly_sales.png に保存しました

「読む → 書く → 動かす → 結果を見て直す」をくり返しているのが分かります。ファイルを書き換えたりコマンドを動かしたりする前には、設定に応じてあなたに確認を求めます。この確認の仕組みは、次のレッスンと最後のレッスンで詳しく扱います。

主なツール(2026年10月時点)

コーディングエージェントは、いくつもの会社が出しています。名前や料金、含まれる機能はよく変わるので、使う前に公式のページで確かめてください。

ツール使う場所プロジェクトの指示ファイル
Claude Code(Anthropic)ターミナル、VS Code などのエディタ、デスクトップアプリ、WebCLAUDE.md(なければ AGENTS.md)
Codex(OpenAI)ターミナル(Codex CLI)、エディタの拡張機能、クラウド(Codex Cloud)、ChatGPT のアプリAGENTS.md
CursorAIの機能を組み込んだコードエディタ、ターミナル(Cursor CLI)、クラウドのエージェント.cursor/rules、AGENTS.md
GitHub Copilotエディタの補完とエージェント、GitHub 上で作業を任せる Copilot cloud agent、ターミナル(Copilot CLI).github/copilot-instructions.md、AGENTS.md
Google Antigravityエディタ、デスクトップアプリ、ターミナル(Antigravity CLI)AGENTS.md、GEMINI.md

「プロジェクトの指示ファイル」は、プロジェクトのルールをAIに伝えるためのファイルです。5つ目のレッスンで書き方を学びます。AGENTS.md は多くのツールが読める共通の形式になっています。

使えるプランもツールによって違います。2026年10月時点では、Claude Code は有料のプランが必要、Codex は ChatGPT のプランに含まれ(無料プランでは一部だけ)、GitHub Copilot と Cursor には無料のプランがあります。

どれを選んでも、「ファイルを読む・書く・コマンドを動かす・結果を見て直す」という基本の動きは同じです。人がやるべきこと(何を頼むか、どう確かめるか、どう安全に使うか)も変わりません。このコースでは Claude Code を使いますが、学ぶ考え方はほかのツールでもそのまま使えます。

自分の役割はどう変わるか

エージェントと組むと、あなたの仕事は「書く人」から、次の3つに変わっていきます。

  1. 決める人:何を作るか、入力と出力、完成の条件を決める
  2. 確かめる人:コードを読む、数字を検算する、テストで確かめる
  3. 判断する人:データの扱い方、ライブラリを入れるか、どこまでやるかを決める

「それならPythonはもう覚えなくていい?」と思うかもしれません。答えは逆です。読めないコードは確かめられません。自分で一から書く力より、読んで、おかしいところに気づく力の大事さが増しています。

特にデータの仕事では、エラーで止まる間違いより、エラーを出さずにそれらしい数字を返す間違いの方がずっと怖いです。たとえば次のようなものです。

  • 数量が空の行を、何も言わずに0として合計していた
  • 「1月の売上」に、去年の1月の分まで混ざっていた
  • 表を結合したら行が増えて、売上が水増しされていた

どれもコードは最後まで動き、グラフもきれいに出ます。気づけるのは、データの中身と、正しい答えのおおよその見当を知っている人だけです。

ウマたんウマたん

AIに任せる部分が増えるほど、「この数字は本当に合っている?」と立ち止まれる人の価値が上がります。書く速さではなく、確かめる力を身につけていきましょう。

このコースで作るもの

レッスン作るもの・やること
2. 準備Claude Code・Python・Git・VS Code を用意し、いつでも元に戻せる状態を作る
3. 最初の1本売上のCSVを集計してグラフにするスクリプトを書かせ、読んで、直させる
4. 確かめるAIが書いた関数のバグをテストで見つけて直す(ブラウザで動かせる演習)
5. 頼み方のコツCLAUDE.md、計画を先に出させる、小さく進める、やり直しどき
6. 実践要件を書くところから、Streamlit の売上ダッシュボードを作る
7. 安全に使うAPIキー・権限・ライブラリ・ライセンスのチェックリスト

前提として、Python基礎の内容(変数・リスト・if・for・関数)が読めると安心です。pandas を少し使うので、データ加工集計可視化を見ておくとさらに読みやすくなります。

Claude Code の有料プランをまだ持っていない人も、このレッスンと4つ目のレッスン(ブラウザで動かせる演習)はそのまま進められます。ほかのツールを使う場合も、考え方は同じです。

演習

次の3つの場面は、「補完・チャット・エージェント」のどれに近いでしょうか。また、それぞれの場面で、あなたが確かめるべきことは何でしょうか。

  1. VS Code で関数の名前を打ったら、続きの3行が薄い文字で出てきた
  2. ブラウザの ChatGPT にエラーメッセージを貼って、直し方を聞いた
  3. ターミナルで「テストが通るように直して」と頼んだら、AIがファイルを2つ書き換え、テストを動かして「すべて通りました」と報告した
解答を見る
  1. 補完です。受け入れる前に、提案された3行が自分の意図と合っているかを読みます。Tab を押す前の一瞬がレビューです
  2. チャットです。AIはあなたのコードやデータを見ていないので、返ってきた直し方が自分の状況に合っているか(列名・ライブラリの版など)を確かめてから使います
  3. エージェントです。「すべて通りました」をうのみにせず、どのファイルのどこが変わったか(差分)と、実際に動かしたテストの結果を見ます。テストの方が書き換えられて通っていないかも確かめましょう(4つ目のレッスンで詳しく扱います)

どの段階でも、最後に「これでよい」と決めるのは人です。AIが自分で動ける範囲が広がるほど、確かめる範囲も広がります。

まとめ

  • AIコーディングは「補完 → チャット → エージェント」と進み、いまはAIがファイルを読み、コマンドを動かし、自分で直すところまでできる
  • Claude Code・Codex・Cursor・GitHub Copilot・Google Antigravity など、どのツールも基本の動きは同じ。名前や料金はよく変わるので公式のページで確かめる
  • 人の役割は「書く」から「決める・確かめる・判断する」へ。データの仕事では、エラーを出さない間違いに気づく力が一番大事になる

次のレッスンでは、Claude Code を使えるようにして、いつでも元に戻せる作業場所を作ります。