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Chain of Thought(CoT)とは?AIに考える手順を書かせて正解に近づける仕組みを分かりやすく解説!

目次
ウマたんウマたん

当サイト【スタビジ】の本記事では、「Chain of Thought(チェイン・オブ・ソート)」について分かりやすく解説していきます!生成AIの答えの精度を上げるうえで欠かせない考え方から、今日から使えるプロンプトのコツ、注意点まで見ていきましょう!

こんにちは!ウマたんです!

算数の文章題を解くとき、いきなり答えだけを書くより、途中の式を書きながら解いたほうが間違えにくいですよね。

実は、AIもまったく同じなんです。

ChatGPTに質問するとき、「ステップバイステップで考えて」と書き添えると答えが良くなる、という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

この裏にあるのが、「Chain of Thought(チェイン・オブ・ソート)」という考え方です。

読者

「ステップバイステップで」ってよく聞くけど、本当に効果があるの?

読者

最近のAIは勝手に考えてくれるみたいだけど、それでも意識したほうがいいのか知りたい!

本記事では、次の4つを順番に解説していきます。

以下のYouTube動画でも解説していますので、あわせてチェックしてみてください!

YouTubeの動画

Chain of Thoughtとは?

まずは結論からいきましょう!

Chain of Thoughtとは、答えを出すまでの考えの道筋を、順を追って書き出しながら、最終的な答えにたどり着く方法です。

直訳すると「思考の連鎖」。頭文字を取って「CoT(シーオーティー)」とも呼ばれます。

考えを一つひとつ鎖のようにつないでいくから、Chain of Thoughtというわけです!

「一発回答」から「考えながら答える」へ

初期の生成AIは、質問に対して、いきなり答えを出す「一発回答型」でした。

そのため、人間なら間違えないような簡単な問題でも、まちがえてしまうことがよくあったんです。

Chain of Thoughtでは、AIが途中の考えを言葉にしながら、少しずつ答えに近づいていきます。

一発回答型Chain of Thought
答え方質問 → すぐに答え質問 → 途中の考え → 答え
人間でいうと暗算でパッと答える式を書きながら解く
得意なこと簡単な質問に素早く答える計算や、何段階かの手順が必要な問題

人間も、頭の中で一歩ずつ考えている

僕たち人間も、複雑な問題を解くときに、ひと飛びで答えにたどり着くことはありませんよね。

「まずここを求めて、次にこれを計算して……」と、頭の中でステップごとに考えているはずです。

Chain of Thoughtは、この人間の考え方のプロセスを、AIにまねさせる方法なんです。

2022年の論文で一気に注目された

Chain of Thoughtが一気に注目されたのは、2022年にGoogleの研究者らが発表した論文がきっかけです。

この論文では、AIに質問するときに、途中の考え方まで書いた解答例をいくつか見せてから問題を出しました。

すると、AIも同じように途中の考えを書いてから答えるようになり、正解率が大きく上がったんです。8つの解答例を見せるだけで、算数の文章題を集めたテスト(GSM8K)で、当時の最高の成績を出したと報告されています。

おもしろいのは、この効果がとても大きなモデルで強く出て、小さなモデルではあまり効果がなかったことです。ある程度の大きさのモデルになって、はじめて「考えながら答える力」が引き出せるようになったわけですね。

「ステップバイステップで考えよう」のひとことでも効く

同じ2022年には、東京大学とGoogleの研究者らが、もっとシンプルな方法を発表しました。

解答例を見せなくても、質問のあとに「Let's think step by step(ステップバイステップで考えよう)」と付け加えるだけで、AIが途中の考えを書くようになり、正解率が上がるというものです。

たったひとことで、ここまで変わるのは驚きですよね!

これらの研究をきっかけにChain of Thoughtが広まり、AIの推論の力は大きく伸びていきました。

Chain of Thoughtで答えが良くなる例

それでは、具体的な例で見てみましょう!

鉛筆を配る問題

こんな問題を考えてみます。

人間なら、そんなに難しくない問題ですよね。

ところが初期の生成AIは、こうした問題に「1本」や「3本」など、適当な答えを返してしまうことがよくありました。

ここで、Chain of Thoughtのように途中の考えを書かせると、答えはこう変わります。

このように、AIが途中の考えを言葉にしながら進めることで、人間に近い考え方で正しい答えを導けるようになるんです!

最近のAIは賢くなっていて、この程度の問題ならまず間違えません。ただ、もっと手順の多い問題になると、同じことがまだまだ起こります。

なぜ途中を書くと正解しやすくなるの?

ここで、「なぜ途中を書くだけで正解しやすくなるの?」と思った人もいるかもしれません。

ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)は、それまでの文章をもとに、次に来る言葉を1つずつ予測して文章を作っています。

いきなり答えを出そうとすると、何段階もの計算や判断を、「答えの最初の言葉」を出すまでの1回の予測の中で、一気にこなさなければなりません。

一方、途中の考えを書き出していくと、書き出した内容そのものが、次の言葉を予測するときのメモ(手がかり)になるんです。

人間が、暗算ではなく筆算をしたり、メモ用紙に途中の数字を書いたりすると間違えにくくなるのと、よく似ていますね。

LLMが文章を作る仕組みについては、以下の記事で解説しています。

大規模言語モデル(LLM)の仕組みや種類について分かりやすく解説!当サイト【スタビジ】の本記事では、大規模言語モデル(LLM)の仕組みや種類について分かりやすく解説していきます。ChatGPTなどの大規模言語モデルの基本を理解してこのAI時代の流れに乗り遅れないようにしましょう!

Chain of Thoughtの使い方

では、Chain of Thoughtを実際にどう使えばいいのでしょうか?

今のAIは、最初から「考える」しくみを持っている

実は今のAIには、Chain of Thoughtの考え方が、最初から組み込まれていることが多いです。

2024年9月にOpenAIが発表した「o1」や、2025年1月に中国のDeepSeekが公開した「R1」のように、答える前に、じっくり考えるように学習させたAIが次々に登場しました。こうしたAIは「推論モデル」とも呼ばれます。

さらに、2025年8月にOpenAIが発表したGPT-5では、簡単な質問にはすぐ答え、じっくり考えるべき問題には時間をかけて答える、という使い分けを自動でするしくみが入りました。

2026年10月時点では、ChatGPT、Gemini、Claudeなど、主な生成AIの多くが、じっくり考えてから答えるモードを持っています。

そのため、ふだん使うぶんには、Chain of Thoughtをそれほど意識しなくても大丈夫です。

DeepSeekのR1が、どうやって「考える力」を身につけたのかは、以下の記事で解説しています。

DeepSeekとは?世界が驚いた中国発AIの安く作れた理由と、使うときの注意点を分かりやすく解説!DeepSeekとは、中国・杭州のAI企業と、その会社が作る重みを公開した生成AIのことです。本記事では、2025年のDeepSeekショック、安く作れた理由(MoE・強化学習・蒸留)、最新モデル、使うときの注意点を図解で分かりやすく解説します!

それでも「ステップバイステップで考えて」は役に立つ

とはいえ、プロンプトで明示的に考えさせるのは、今でも効果的な場面があります。

いちばんシンプルなのが、「ステップバイステップで考えて」と指示する方法です。

次の問題に答えてください。ステップバイステップで考えて、最後に答えを1行で書いてください。

(ここに問題)

こう書くと、AIは「しっかり順を追って考えてから答えるんだな」と受け取って、途中の考えを書いてから答えてくれます。

僕自身も、複雑なプログラミングの質問をするときなどは、今でも「ステップバイステップで考えて」と書き添えていて、やはり効果的だなと感じています。

考える手順をこちらから渡す

もう一歩進んだ方法が、考える手順の枠組みを、使う人の側で決めてプロンプトで渡すやり方です。

次の手順で考えてください。
1. 問題文から、分かっていることを書き出す
2. 何を求めればよいかを書く
3. 必要な計算を、1つずつ順番に行う
4. 答えが問題の条件に合っているか確かめる
5. 最後に、答えだけを1行で書く

(ここに問題)

こうすると、AIは決められた順番に沿って考えるので、考えもれや、途中で話がそれることが減ります。

仕事で同じ種類の問いを何度もAIに投げるときは、手順を決めておくと、答えの質もそろいやすくなりますよ!

考え方のお手本を見せる

2022年のGoogleの論文と同じように、途中の考え方まで書いた解答例を先に見せる方法もあります。

問題:ロジャーはテニスボールを5個持っています。テニスボールが3個ずつ入った缶を2つ買いました。テニスボールは全部で何個ですか?
答え:最初に5個ある。3個入りの缶が2つで、3 × 2 = 6個。5 + 6 = 11。答えは11個。

問題:(ここに解いてほしい問題)
答え:

解答例の書き方をまねて、AIも途中の考えを書いてから答えてくれるようになります。

方法やり方向いている場面
ステップバイステップで考えてひとこと付け加える手軽に試したいとき
手順を渡す考える順番をこちらで決める同じ種類の仕事をくり返すとき
お手本を見せる途中の考えつきの解答例を見せる答え方の型をそろえたいとき

プロンプトを工夫するコツは、以下の記事でもまとめています。

プロンプトエンジニアリングのコツや例文をまとめていく!テキスト版と画像版!当サイト【スタビジ】の本記事では、最近話題の生成系AIのアウトプットをハンドリングするのに大事なプロンプトエンジニアリングについてまとめていきます。AIに対する指示文をプロンプトと言いますが、このプロンプトが筋の良いアウトプットを出す上で非常に重要なのです。

Chain of Thoughtの注意点

ここまでで、Chain of Thoughtの強力さが分かったと思います。

では、なんでもかんでもChain of Thoughtで答えさせればいいのかというと、そうとも言えないんです。

考えすぎて、逆に間違えることもある

考えの道筋が長くなりすぎると、途中で話がそれたり、どこかで小さな間違いをして、それを引きずったまま答えまで進んでしまったりすることがあります。

人間でも、考えすぎて簡単な問題を落としてしまうこと、ありますよね。

同じ質問でも、答えがぶれることがある

考える道筋が長くなるほど、同じ問題でも毎回ちがう道筋で考えて、ちがう答えを出すことがあります。

これを逆に利用して、何通りか考えさせて、いちばん多かった答えを選ぶという工夫も研究されています(Self-Consistency と呼ばれます)。

時間とお金がかかる

長い考えを書き出すぶん、答えが出るまでの時間が長くなります。

さらに、AIのAPIは、ふつう出力した文字の量(トークン数)に応じてお金がかかるので、考えを長く書かせるほどコストも増えてしまうんです。

特に、AIを組み合わせて仕事を自動でこなす「AIエージェント」を作るときは、ここが大きな課題になります。速く、安く答えてほしい場面では、あえてChain of Thoughtを使わないほうがいいことも、実はかなり多いんです。

書き出された考えが、本当の考えとは限らない

AIが書き出した考えの道筋は、もっともらしく見えても、間違っていることがあります。

さらに、書き出された道筋が、AIの中で実際に起きている計算をそのまま表しているとは限らない、という研究もあります。

AIがもっともらしいウソをつく「ハルシネーション」の原因と対策は、以下の記事で解説しています。

生成AIでハルシネーションが起きる原因と対策について解説!当サイト【スタビジ】の本記事では、生成AIにおけるハルシネーションとは何かについて具体的な事例や原因、さらには対策方法を交えて分かりやすく解説していきます!

考えるべきときだけ考える「選択的なCoT」

こうした課題をふまえて、最近の研究では、いつChain of Thoughtを使うかを、AI自身が判断する方法も盛んに研究されています。

僕たち人間も、質問されたら、まず「これはじっくり考えるべきか、すぐ答えていいか」を一瞬で判断していますよね。

これをAIが上手にできるようになれば、低いコストで、より筋の良い答えが出せるようになります。

先ほど紹介した、GPT-5の「簡単な質問にはすぐ答え、難しい問題はじっくり考える」という使い分けも、この流れの一つです。この分野の研究は、これからも盛り上がっていくでしょう!

Chain of Thoughtのまとめ

最後に、今回のポイントをおさらいしましょう!

ウマたんウマたん

要は、AIにも「途中式を書かせる」と、ぐっと賢くなるということなんです!難しい質問をするときは、ぜひ「ステップバイステップで考えて」と書き添えて、答えの変化を試してみてください!

生成AIの使い方や仕組みを体系的に学びたいのであれば、当メディアが運営するスクール「スタアカ」がオススメです!

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ウマたんスタビジ編集長

大学院は理系の統計科学研究室で、ベイズ統計学・時系列分析・異常検知を研究。日系・外資の消費財メーカーのデータサイエンティストを経て、現在は会社を経営しながらデータサイエンティストとして働いています。

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