交絡因子とは?シンプソンのパラドックスや対処法を身近な例で分かりやすく解説!

目次
ウマたん当サイト【スタビジ】の本記事では、「交絡因子」について分かりやすく解説していきます!相関と因果を取り違えてしまう原因から、結論が逆転する「シンプソンのパラドックス」、対処法まで見ていきましょう!
こんにちは!ウマたんです!
「アイスがよく売れる日は、水の事故が多い」。
データを見ると、たしかにそんな関係があったとします。
だからといって、「アイスが事故の原因だ!アイスの販売をやめよう!」とは言えませんよね。
実は、この2つの裏には、ある「隠れた要因」がひそんでいるんです。
この隠れた要因こそが、今回のテーマ「交絡因子」です。
データ分析でよく「相関と因果は違う」って言われるけど、何に気をつければいいの?
交絡因子って言葉は聞いたことあるけど、どういう意味なのか知りたい!
本記事では、次の4つを順番に解説していきます。
以下のYouTube動画でも解説していますので、あわせてチェックしてみてください!
交絡因子とは?
まずは、交絡因子とは何かを見ていきましょう!
原因と結果の両方に影響する「隠れた要因」
交絡因子とは、原因と結果の両方に影響を与えてしまう、隠れた要因のことです。

「原因っぽいもの」と「結果っぽいもの」の両方に、同じ隠れた要因が影響している。
そのせいで、本当は直接の関係がないのに、2つの間に関係があるように見えてしまうんです。
「交絡」は、いろいろな要因が入りまじって、からみ合っていること。英語では「confounding」、交絡因子は「confounder」と呼ばれます。
アイスと水の事故の例
冒頭の、アイスと水の事故の例で考えてみましょう。
この例では、「気温」が交絡因子です。

気温という共通の原因があるせいで、アイスと事故の間に、関係があるように見えてしまうんです!
アイスを食べたから事故が起きるわけではありません。
アイスの販売をやめても、水の事故は減らないでしょう。
本当に効く対策を打つには、見かけの関係ではなく、本当の原因を見抜く必要があるんです。
相関があっても、因果があるとは限らない
ここで出てくるのが、データ分析でよく言われる「相関と因果は違う」という言葉です。
| 意味 | アイスと水の事故の例 | |
|---|---|---|
| 相関関係 | 一方が増えると、もう一方も増える(減る)という関係 | アイスが売れる日ほど、水の事故が多い |
| 因果関係 | 一方が原因になって、もう一方が起きるという関係 | アイスが売れる「から」、水の事故が起きる…わけではない |
相関があっても、因果があるとは限らない。
その大きな理由のひとつが、交絡因子なんです!
ほかにも、原因と結果の向きが逆だったり、たまたま数字が似た動きをしていただけだったりすることもあります。
データの中に関係を見つけたら、「本当にこっちが原因なのかな?」と一度立ち止まることが大切です。
交絡因子の身近な例
それでは、もう少し身近な例を見てみましょう!
コーヒーと肺の病気
たとえば、「コーヒーをよく飲む人は、肺の病気になりやすい」というデータがあったとします。
※この例は、交絡因子を説明するためのたとえです。
これだけを見ると、「コーヒーは肺に悪いのでは?」と思ってしまいますよね。
でも、コーヒーをよく飲む人に、たばこを吸う人が多かったとしたらどうでしょう?

本当の原因は、コーヒーではなく、たばこかもしれません。
この場合、喫煙が交絡因子です。
喫煙が「コーヒーをよく飲むこと」と「肺の病気」の両方に関わっているせいで、コーヒーと肺の病気の間に関係があるように見えてしまうんです。
アプリの通知と買い物
ビジネスでも、同じことが起きます。
たとえば、「アプリの通知を受け取った人ほど、よく買い物をしている」というデータがあったとします。

これを見て「通知を送れば売上が伸びる!」と考えたくなりますよね。
でも、もともと熱心なお客さんほど、通知をオンにしているのかもしれません。
熱心なお客さんは、通知があってもなくても、よく買い物をしてくれます。
つまり、「もともとの熱心さ」が、交絡因子になっているんです!
この場合、通知をたくさん送っても、思ったほど売上は伸びないかもしれません。
ほかにも、交絡因子がひそんでいそうな例はたくさんあります。
| 見かけの関係 | 交絡因子かもしれないもの |
|---|---|
| アイスが売れる日ほど、水の事故が多い | 気温 |
| コーヒーをよく飲む人ほど、肺の病気になりやすい | 喫煙 |
| 通知を受け取った人ほど、よく買い物をする | もともとの熱心さ |
| 広告を見た人ほど、商品を買っている | もともとその商品に興味があったかどうか |
※表の例は、説明のためのたとえです。
交絡因子の3つの条件
ある要因が交絡因子かどうかは、次の3つの条件で考えると分かりやすいです。
3つ目は少し分かりにくいので、補足しておきます。
たとえば「運動すると体重が減って、その結果、血圧が下がる」という流れがあったとき、「体重」は運動の効果が伝わる途中の道です。
こうした途中の要因は「中間因子」と呼ばれ、交絡因子とは区別されます。
シンプソンのパラドックス
交絡因子を見落とすと、ただ関係を見誤るだけでなく、結論が真逆になってしまうこともあります。
それが「シンプソンのパラドックス」です。
名前は、この現象を論文で取り上げた統計学者、エドワード・シンプソンにちなんでいます。
全体ではBが上なのに、分けるとAが上
有名なのが、1986年に発表された、腎臓の結石の治療の研究です。統計学の教科書にもよく出てくる例なんです。
治療Aと治療Bの成功率を、全体で比べると、治療Bのほうが高く見えました。

ところが、石が小さい患者と、石が大きい患者に分けて比べると…
どちらでも、治療Aのほうが成功率が高かったんです!

全体ではBが上なのに、分けるとどちらもAが上。
不思議ですよね。
なぜ結論がひっくり返るのか
理由は、石の大きさです。
治療Aは、治りにくい、大きな石の患者に多く使われていました。
つまり、石の大きさが「どちらの治療を使うか」と「治るかどうか」の両方に影響する、交絡因子になっていたんです。
仕組みをつかむために、数字で見てみましょう。
※ここからの数字は、仕組みを分かりやすくするための架空の数字です(実際の研究の数字ではありません)。
| 小さい石 | 大きい石 | 全体 | |
|---|---|---|---|
| 治療A | 20人中18人が成功(90%) | 80人中56人が成功(70%) | 100人中74人が成功(74%) |
| 治療B | 80人中68人が成功(85%) | 20人中13人が成功(65%) | 100人中81人が成功(81%) |
小さい石どうし、大きい石どうしで比べると、どちらも治療Aのほうが成功率が高いですよね。
でも、治療Aは患者の多く(100人中80人)が、治りにくい大きな石の患者です。
一方の治療Bは、患者の多くが、治りやすい小さな石の患者。
そのため、全体で合計すると、治療Aの成功率は「難しい患者が多い分」だけ低く見えてしまうんです。
全体で見るか、分けて見るかで、結論がひっくり返る。
これが「シンプソンのパラドックス」です!
交絡因子への対処法
それでは最後に、交絡因子にどう対処すればいいのかを見ていきましょう!
いちばん確実なのは「ランダム化比較実験」
いちばん確実なのは、くじ引きのようにランダムにグループを分けて実験する「ランダム化比較実験」です。英語の頭文字をとって「RCT」とも呼ばれます。

ランダムに分ければ、交絡因子は、どちらのグループにも同じくらい入ります。
たとえばアプリの通知の例なら、熱心なお客さんも、そうでないお客さんも、通知を送るグループと送らないグループに同じくらい入るわけです。
そのため、交絡因子の影響を打ち消して、通知そのものの効果を比べられるんです。
しかもランダム化比較実験なら、自分たちが気づいていない交絡因子があっても、まとめて打ち消せるのが大きな強みです。
Webサイトでよく行われる「ABテスト」も、この考え方を使っています。
ランダム化比較実験については、以下の記事でPythonでの実装と一緒に詳しく解説しています。
ランダム化比較実験(RCT)とは?Pythonでの実装方法も見ていこう!本記事では、ビジネスシーンで因果関係を知りたい時に一番適切なアプローチがランダム化比較実験であり、非常に重要なので必ずおさえておきましょう!
実験ができないときはデータ分析で調整する
とはいえ、いつでも実験ができるわけではありません。
「たばこを吸うグループ」と「吸わないグループ」をくじ引きで決めるわけにはいきませんよね。
実験ができないときは、すでにあるデータを分析して調整します。

| 手法 | やり方 | 例 |
|---|---|---|
| 層別解析 | 交絡因子ごとにグループ(層)を分けて比べる | 石の大きさごとに、治療Aと治療Bを比べる |
| マッチング | 交絡因子が似た人どうしをペアにして比べる | 喫煙の有無が同じ人どうしで、コーヒーをよく飲む人と飲まない人を比べる |
| 傾向スコア | 交絡因子から「その処置を受けやすいか」を数値にして、その値が近い人どうしを比べる | 通知をオンにしやすさが同じくらいの人どうしで、オンとオフを比べる |
| 回帰分析 | 交絡因子も一緒に入れて分析する | 購入額を、通知の有無と熱心さの両方で説明する式を作る |
シンプソンのパラドックスで、石の大きさごとに分けて比べたのは、まさに「層別解析」なんです。
層別解析と傾向スコアについては、以下の記事で詳しく解説しています。
層別解析について分かりやすく解説!Pythonで実装してみよう!本記事では、非常に奥が深い分野である統計的因果推論の分野の1つの手法である層別解析について見ていきましょう!
傾向スコアを使ったマッチングや逆確率重み付け法(IPW)についてPython実装法と共に分かりやすく解説!本記事では、非常に奥が深い分野である統計的因果推論の分野の1つに傾向スコアを用いたアプローチがあります。今回はそんな傾向スコアについて学び、それを使ったマッチング法や逆確率重み付け法(IPW)について見ていきましょう!
まずは図に描いて考える
ただし、データ分析で調整する方法には、大きな弱点があります。
だからこそ、何が原因と結果の両方に影響しそうかを、まずは図に描いて考えることが大切なんです!
「原因」「結果」「交絡因子かもしれないもの」を箱に書いて、矢印でつないでみる。
こうした図は「因果ダイアグラム」と呼ばれ、因果推論の基本の道具になっています。
ランダム化比較実験や傾向スコアなど、原因と結果の関係を調べる手法をまとめて学びたい方は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください!
【分かりやすく解説】統計的因果推論の手法7つを理解しPythonで実装していこう!当サイト【スタビジ】の本記事では、非常に奥が深い分野である統計的因果推論について見ていきたいと思います。相関関係と因果関係は違うということをしっかり理解し、どのように因果を見つけていけばよいか様々な方法を見ていきましょう!
交絡因子のまとめ
最後に、今回のポイントをおさらいしましょう!
ウマたん要は、「その関係、ほかに共通の原因がないか?」と疑うことが、データを正しく読む第一歩なんです!ぜひ、身の回りのデータでも考えてみてください!
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