こんにちは!
消費財メーカーでデータサイエンティスト兼デジタルマーケターをやっているウマたん(@statistics1012)です!
まさにデジタルトランスフォーメーション(DX)と名の付く部に所属しており、オールドエコノミーの企業でDXを推進しております。
様々なところでデジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が騒がれていますが、このDXという言葉は危険なワード。
人によって解釈が違うので、当事者同士でDXによって何を成し遂げたいのかという具体的なイメージを持たないまま、とりあえずデジタル化すればいいんでしょ??
という危険な香りしかしないPJが立ち上がりかねません。
数々の企業がDXに挑戦しては失敗している根源はそこにあると考えています。
この記事では、そんなDXをいかに成功に導くかのベンチマークとして自分への備忘録も兼ねてDXの成功事例についてリサーチ&まとめておきたいと思います。
海外の事例をメインに据えつつ、日本の事例に関しても目を向けていきますよ!
デジタルトランスフォーメーションで企業価値を高めるために!!!
目次
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
さて、とはいえまずは
デジタルトランスフォーメーションとは何か
確認をしておきましょう。
デジタルトランスフォーメーションと聞くとどうしても、リアルを生業としていた企業がデジタル化を促進させていくイメージを持ってしまいます。
デジタルトランスフォーメーションのその先を捉えた名著「アフターデジタル」では、デジタルトランスフォーメーションの立脚点に警鐘を鳴らしています。
オフラインが中心で付加価値的な存在として新たなデジタル領域が広がっていくという考え方には視点の転換が必要。デジタル接点は当たり前、リアル接点が特別な体験ができる一部のレアな場所と捉えることが大事です。
(引用元:アフターデジタル)
リアル起点から考えるのではなくデジタル起点でどのようにリアルを活かすかを考える脳になりましょう。
リアルはデジタルに包含された一部の接点なんです!
その上で、全てがデジタルに繋がれた世界において顧客に我々はどのような価値を提供できるのか?
顧客体験を最大化するためにはどうすればよいのか。
脳みそに必死に汗をかいて考えなくてはいけません。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例
続いて、そんなデジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例についてまとめておきましょう!
フーマー(中国)の事例
中国はデジタルトランスフォーメーション先進国と言っても過言ではありません。
日本では考えられないほどデジタルトランスフォーメーションが進んでおり、QRコード決済が当たり前、ほぼ現金が使えなくなり、なんと路上の生活者の物乞いも神社のお賽銭もQRコード化しています。
シェアリング自転車やカーシェアの浸透により移動データもトラッキングできるようになりました。
ここでは、フーマーというアリババが運営する食品スーパーの例を取り上げてみましょう!
フーマーでは、ECにおける在庫としての役割を持ちながら、食品スーパー・レストランとしての側面を持っています。
お客様は、いけすに入った魚や、次々と天井のワイヤーで配送に運ばれる商品を見ながら実際にその場で購入や食事をすることができますし、もちろんECプラットフォームで購入することができます。
ちなみにECで購入した場合、店舗3km以内であれば30分以内の配送が可能になっています。
ECプラットフォームの倉庫を一部体験型で見学できるという建て付けからも、デジタルが当たり前になっていてリアルがデジタルの一部になっていることが分かります。
フーマーのアプリは徹底的な顧客視点に立っていて、商品のバーコードを読み取るとその日の献立がレコメンドされて食材を一気に注文できるような仕組みになっていたり、様々な顧客体験が提供されています。
ワービーパーカー(Warby Parker)(米国)
ワービーパーカーは米国発のメガネのDtoCブランドです。
リアルとデジタルを組み合わせた非常にユニークなコミュニケーションでDtoC成功事例として語られることの多い企業です。
複数のメガネをネットで注文して自宅で試着でき、似合わないと思ったら返却できます。
実際に試着してみた感想をSNSに挙げると、もれなくワービーパーカーからフィードバックがもらえる仕組みになっています。
元々デジタル体験を主軸としていながら、リアル展開にも力を入れています。
リアル店舗では世界観を大事にしており、メガネ屋とは思えない空間が広がっています。
商品棚と本棚が交互に並んでいて、本棚には実際にワービーパーカーがセレクトした本が並んでいます。
まるで図書館にいるかのような空間が広がっているのです。
このようにデジタルを主軸としながらもリアルの空間を特別な体験ができる場として作り込んでいるのがDXの潮流です。
また出店地域はデジタルで取得できる顧客情報を基に割り出しているそう。
エストニア政府
ここまでは、デジタルトランスフォーメーションの事例として企業を取り上げてきましたが国家レベルにも目を向けてみましょう。
中国自体がデジタルトランスフォーメーション先進国であることはいわずもがなですが、今電子国家として注目されている国にエストニアがあります。
エストニアは電子国家を標榜して、様々な情報のデジタル化・一元化を推し進めていますが、中国の事例とは様相が違います。
エストニアでは個人情報が電子データとして一元化され、日本だと書類が多く大変な行政手続きがデジタル上で行えます。
またお金を払うことでエストニアの電子住民になることもできます。
結婚関係、不動産関係以外の手続きは全て電子上で行うことができるそうです。
ここでは、ある意味我々に大きな示唆を与えてくれます。
中国やエストニアの事例をそのままトレースしても日本でデジタルトランスフォーメーションが進められるわけではないように国によって文化やそこに根付く国民の意識は違います。
我々ニホンでは、どのような形でデジタルトランスフォーメーションを推し進めなくてはいけないのかしっかり自分たちの頭で考える必要があるのです。
もちろん海外の事例は全く役に立たないわけではないと思っています。
海外の事例をどのような背景で生まれたのかという文脈もセットで紐解くことで日本でデジタルトランスフォーメーションを推し進める上でも役立つと思っています。
続いては一部の日本の例を見ていきましょう!
メルカリの例
言わずと知れた日本のスタートアップ「メルカリ」。
CtoCのフリーマーケットを展開する会社としてあり、まさにデジタルを起点とするサービスを提供していますが、そんなメルカリはリアル接点に進出していきています。
ドコモショップを使った「メルカリ教室」というメルカリの使い方をレクチャーする場を提供しています。
これにより従来の接点では獲得できなかった高齢層にもリーチすることができ、結果的にメルカリのエンゲージメントが高まり長期愛用者を獲得することに成功しています。
ここでのポイントは、元々リアル店舗として地域と密接に関わっておりかつお客様へのレクチャー経験の豊富なドコモストアと一緒に提携して推進していることですね。
単独企業で進めるのだけが選択肢ではありません。
複数の企業の強みを活かしてデジタルトランスフォーメーションを進めることもできるということを頭に入れておきましょう。
ファミマのファミペイ
ペイメント競争が熾烈に繰り広げられる中、後釜として登場したのにも関わらず500万ダウンロードを超えています。
セブンペイがたった3か月で消滅した中、ファミペイがここまで浸透したのはどんな要因があったのでしょうか。
実は、このDXを推進した方の登壇を聞いたことがあるのですが、重要なのは社内マーケティングとおっしゃていました。
もちろん顧客を見ることは大事ですが、このDXによってどんな価値が生まれるのかやGoalイメージを社内で共有することはDXを推し進める上で非常に大事。
社内啓蒙活動には非常に力を入れていたそうです。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させるためには?
成功事例は分かっても、それをトレースするのは至難の業。
どのようにデジタルトランスフォーメーションを推進していけばよいのでしょうか?
以下のYoutube動画でも詳しく解説していますよ!
デジタルトランスフォーメーションの目的を明確にする
まずはじめに大事なのがデジタルトランスフォーメーションの目的を明確にすること。
世のトレンドだから、とりあえずデジタルトランスフォーメーションを推進しようー、デジタル化だーみたいなふんわりしたDXプロジェクトは間違いなく失敗します。
DXは手段であり目的ではないのです。DXそのものが目的になってしまっているプロジェクトは確実に頓挫します。
・DXによって何を成し遂げたいのか
・どういう世界を作りたいのか。
必ず当事者全員で目的の認識合わせを行いましょう!
現場レベルと経営トップレベルの認識が合っていないと、本当の意味でのデジタルトランスフォーメーションは達成できません。
経営レベルが大上段にかまえた大きな絵を描いたのに、それに対して現場が全く動かないということが往々にして起こりうるのです。
デジタルトランスフォーメーションを推し進めようとすると、どうしてもトップダウンで強引に実行しないと変わらないというイメージを持つかもしれませんが、日本ではそのような強引なトップダウンは上手くいきません。
トップダウンで実行しても現場からの抵抗によって上手く変革することが出来ず、そのまま数年経ち結局何も変わらなかったという烙印をおされて終わってしまうのです。
現場は、経営者目線に立って成し遂げたいゴールを理解することが大事
経営レベルは、現場をしっかり理解して現場を巻き込んでいくことが大事
ボトムアップで小さな成功事例を積み上げ全体に波及させていく
さて、続いて大事なのが小さな成功事例から全体に波及させていくということ。
現場と経営レベルで目線をあわせることができて、さて実際に推進に走り出そう、となってもいきなり大きな改革は起こせません。
DXを推進するということは既存の仕組みをぶち壊すことになるので、技術だけではない様々な障壁が存在するのです。
そこで、スモールに行える部分から手を付けてクイックに結果を出すこと。
そして、その成功事例を社内PRすることで、全社にDXの流れを波及させていくことが大事なんです。
DXプロジェクトのハブとなるチームを作る
続いてDXプロジェクトのハブとなるチームを作る。
ここまで来ると社内で大きなムーブメントが起き様々なDXプロジェクトが立ち上がります。
そんな時に重要なのがDXプロジェクトのハブとなるチームなんです。
DXプロジェクトが多く立ち上がるようになると、「ん?あそこの部でも同じようなことをやっているじゃないか、知らなかった・・・」
みたいなことが起こりえます。
同じようなプロジェクトを複数走らせてしまうのは、人員リソース的にもコスト的にも無駄なので出来れば避けたい。
しかし、会社の規模が大きければ大きいほどなかなか情報の連携が取りにくくなってしまいます。
そんな時にDXプロジェクトのハブとなるチームがあると、情報がそこに集約されて会社全体としてのDXの動きを統制しやすくなります。
この3つがデジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させるためのキーワードです。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を学ぶ上でオススメの本
さてそんなデジタルトランスフォーメーション(DX)を学ぶ上で非常にオススメな本をここで紹介しておきましょう!
この記事で説明している内容もこの書籍のスタンスに立脚しており、かつ事例も一部書籍を参考にしています。
これまでの机上の空論であるデジタルトランスフォーメーションの間違いをこの本でしっかり頭に叩き込みましょう!
アフターデジタル2だけ読めば基本は問題ありませんが、
アフターデジタル
(2024/12/11 06:10:32時点 Amazon調べ-詳細)
中国の事例を中心に日本はどのようにデジタルトランスフォーメーションを推し進めていくべきなのかについて語られた書籍。
リアルが強いことによる既成概念に囚われたビフォアデジタル的な考え方を捨ていかにアフターデジタルの考え方に思考を転換するかについて考えていきます。
アフターデジタル2
アフターデジタル発売後にコロナが世界を襲い、なかばジワジワと訪れていたデジタルトランスフォーメーションが強制的に推し進められることになりました。
そんなコロナ期間に発売されたアフターデジタル2。
アフターデジタル2では、アフターデジタルの中では語り切られなかった本当の意味でのデジタルトランスフォーメーションについて解説されています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)まとめ
この記事では、デジタルトランスフォーメーション(DX)について成功事例と共に様々な観点からまとめてきました。
デジタルトランスフォーメーションを成功させるために参考になれば幸いです。
デジタルトランスフォーメーションを成功させるのは、なかなか難しく険しい道のりだとは思います。
様々な壁がそこには立ちはだかり、挫折することも少なからずあることでしょう。
そんな壁がいくらあろうとも絶対に負けずくじけないために、必ずデジタルトランスフォーメーションを成功させるために、
お互い頑張っていきましょう!
イラスト出典:Illustration by Stories by Freepik