品質工学

ELR管理図で平均と分散の検知をしよう!

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こんにちは!

MEWMA管理図は平均ベクトルの変化

MEWMC管理図は分散共分散行列の変化

を検知します。

しかし、これらの手法は特定の変化が起きる状況でしか検知できません。

変化のパターンが分かっている時には有用ですが、変化のパターンが分かっていない時はどうでしょう。

平均ベクトルが変化しているのにMEWMC管理図を使っていては意味がないし、分散共分散行列が変化しているのにMEWMA管理図が変化していては元も子もありません!

それでは、平均ベクトルと分散共分散行列の変化を同時に検知できる手法はないのでしょうか?

あるんです!それが、

ELR管理図です!

ELR管理図とは

ELR管理図とは、Exponentially Likelihood Ratioの略で、2010年にZhangらが提案した手法です。

平均ベクトルと分散共分散行列の変化に重み付けをした統計量を最終的に対数尤度に代入し変化を検知します。

基本的にはMEWMA管理図やMEWMC管理図と同様のアルゴリズムで重み付けを行い各期ごとに蓄積していきます。

平均ベクトルが変化しても分散共分散行列が変化しても対応できるということで画期的な手法ですね!

ELR管理図のアルゴリズム

それではELR管理図の具体的なアルゴリズムについてみていきましょう!

まず、以下のような多変量正規分布に従ってデータが発生しているとします!

\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
x_t\sim{N_p(\mu_0,\Sigma_0)}(t=1,2,….,\tau)\\
x_t\sim{N_p(\mu_t,\Sigma_t)}(t=\tau+1,\tau+2….)\\
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

STEP1:多変量正規分布に従うデータが得られたとき、そのデータを白色化(多変量における標準化)します

\(A\Sigma_0A’=I_p\)を満たす\(A\)を用いて\(U_t=A(x_t-\mu_0)\)として白色化を行う

STEP2:平均ベクトルの更新を行う

\begin{eqnarray}
w_t=(1-\lambda)w_{t-1}+\lambda{U_t}
\end{eqnarray}

STEP3:分散共分散行列の更新を行う

\begin{eqnarray}
S_t=(1-\lambda)S_{t-1}+\lambda{V_t}
\end{eqnarray}
この時、\(V_t=(U_t-w_t)(U_t-w_t)’\)である。
また、\(w_0=0_p,S_0=I_p\)とする

STEP4:得られた更新パラメーターを対数尤度に代入

\begin{eqnarray}
ELR_t=tr(S_t)-log|S_t|+\|w_t\|^2
\end{eqnarray}

ELR管理図で平均ベクトルと分散共分散行列の変化を検知しましょう!

ELR管理図 まとめ

ELR管理図についてまとめてきました。なかなかマイナーな多変量管理図手法ですが、管理図の歴史の中では相当新しい手法です。

以下の記事で他の管理図についてまとまているので良ければご覧ください!

管理図とは当サイト【スタビジ】の本記事では、品質管理の分野でよく使われる管理図について徹底的に見ていきます。単変量管理図と多変量管理図の2タイプがあり、多変量管理図は研究も盛んでまだまだこれから新しい手法が登場するでしょう!...

 

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