こんにちは!
データサイエンティストのウマたん(@statistics1012)です!
今回はコールドスタート問題について解説していきます!
コールドスタート問題とは「初期段階でデータが少なくシステムの精度が下がってしまう問題」です。
例えば、レコメンドシステムにおいて、購入履歴がない場合だとおすすめ商品が推薦できない問題が挙げられます。
また機械学習で分類問題を解く際に、初期段階では手元の学習データが少なく学習が正しく進まず分類が難しい、といった問題もコールドスタート問題に含まれます。
この記事では、コールドスタート問題の定義と背景、解決策について解説します!
・コールドスタート問題の定義・背景について解説!
・コールドスタート問題の解決策について解説!
以下のYoutube動画でも解説していますので合わせてチェックしてみてください!
目次
コールドスタート問題について解説!

改めてですが、コールドスタート問題とは「初期段階でデータが少なくシステムの精度が下がってしまう問題」と定義されています。
例として画像判別を挙げてみましょう。
犬と猫の画像を学習して未知のデータに対して判定を行いますが、与えられたデータを学習する必要があるため、事前にデータがなければ結果をうまく出力することができません。
このように手元にデータが少ない状態で特定のアルゴリズムを実装しようとするも初期段階では精度が著しく下がってしまう問題のことを指します。
一般的にはデータが少なくて精度が下がってしまうこと全般を差すのですが、特にレコメンドシステムに対してコールドスタート問題が問題視されることが多いです。
そのため、この記事では特にレコメンドシステムにフォーカスして見ていきましょう!
レコメンドシステムは自社内にデータが蓄積されておらず十分な学習がされていないままリリースすることが多々あり、初期段階ではなかなか精度が上がりません。
また、レコメンドシステムはECサイトなど多くのアイテムが存在することが前提で構築されており、そのようなサービスでは新しいアイテムがどんどん登場します。
そんな時に、新しいアイテムのデータが少なくレコメンド精度が下がってしまう事象もコールドスタート問題です。
さらに、新しいユーザーに対してデータが少なくレコメンド精度が下がってしまう事象もコールドスタート問題になります。
まとめると大きく分けて以下の3つの事象が存在することがわかりますね。
新規システム問題: システム全体が開始されたばかりで、ユーザーもアイテムもデータが少ない場合
新規アイテム問題: 新しいアイテムがシステムに追加された際、そのアイテムに対する評価や使用履歴がないため、推薦が難しい。
新規ユーザー問題: 新しいユーザーがシステムに登録したばかりで、そのユーザーの嗜好や行動データがない場合、適切な推薦が難しい。
コールドスタート問題の解決策について解説!

では、コールドスタート問題を解決するにはどうすればよいでしょうか?いくつか紹介していきますので順に見ていきましょう!
コンテンツベースアプローチ
新しいユーザーやアイテムのメタデータ(属性情報)を利用して、推薦を行います。
レコメンドアルゴリズムでは協調フィルタリングというアプローチが一般的なのですが、協調フィルタリングはもろにコールドスタート問題の影響を受けてしまいます。
そこでそれを避けるためにコンテンツベースのレコメンドを取るアプローチが考えられます。
例えば、新規ユーザーであればプロフィール情報(年齢、性別、興味など)から既存ユーザーの中で似た傾向を持つユーザーを特定し、レコメンドします。
新規アイテムであれば、アイテムの属性(ジャンル、カテゴリ、価格など)を基に、既存の類似アイテムと関連付けてレコメンドに利用します。
例えば、キュウリとほうれん草は、同じ緑黄色野菜であり、価格も同じくらいであり・・・という類似性からキュウリを購入した人にはほうれん草もレコメンドするというモノ
アディダスのスニーカー買ったらナイキのスニーカーもレコメンドされるようになったみたいな方がイメージ付きやすいかもしれません。
コンテンツベースレコメンドは、比較的興味・関心の保証があるコンテンツ・商品をレコメンドしてくれるのでルールベースよりはユーザーファーストになっていますが、結局同じようなカテゴリーばかりレコメンドされるようになり、面白みに欠けてしまいます。
新たなコンテンツ・商品との出会いが無くなってしまうんですね。
そこで協調フィルタリングが利用されるんですが、協調フィルタリングは先程もお話した通りコールドスタート問題が生じやすいのです・・・難しい。
ハイブリッドアプローチ
ということでコンテンツベースと協調フィルタリングの両方を組み合わせるアプローチが考えられます。
初期段階ではコンテンツベースを活用し、データが蓄積するにつれて協調フィルタリングを活用します。
ここで一旦協調フィルタリングがどんなアプローチか簡単に解説しておきましょう!
協調フィルタリングとは、ユーザー同士の類似性を計算しレコメンドを行う手法です。
つまり、同じような趣味・嗜好を持っている人は同じようなモノに興味を持つだろうというロジック。
ざっくり言うと、Aさんはお店でビールとキムチとティッシュを買いました。Bさんは、ビールとキムチを買いました。そんなBさんはティッシュも買ってくれる可能性が高いからティッシュもオススメしよう!という感じ(ざっくりすぎ笑)
実際のところは以下のような表にユーザー別の商品購買情報が並んでおり、
ユーザーAとユーザーBの購買データからユーザーの類似度(相関関係)を算出し、それを基にレコメンドを行います。
ビール | キムチ | ティッシュ | ・・・ | |
ユーザーA | 1 | 1 | 1 | |
ユーザーB | 1 | 1 | 0 | |
ユーザーC | 1 | 0 | 0 | |
・・・ |
またアイテムベースの協調フィルタリングは、以下のようにアイテム同士の類似性をユーザー購買情報から導き出します。
ユーザーA | ユーザーB | ユーザーC | ユーザーD | |
ビール | 1 | 1 | 1 | 1 |
ティッシュ | 1 | 1 | 1 | 0 |
AさんとBさんとCさんがビールとティッシュを買っているなら、ビールとティッシュは類似性が高いと考えられその上でビールを買ったDさんにティッシュもレコメンドするというもの!
先程のコンテンツベースだとビールやキムチとティッシュは商品として類似していないのでレコメンドされませんが、協調フィルタリングを使えば、ユーザーの類似性を算出し、新たな商品との出会いを創出することができるのです。
しかし、見ての通り、購買履歴がないor少ないユーザーにはレコメンドが難しいためコールドスタート問題が生じやすくなるのです。
そこで最初はコンテンツベースでレコメンドして徐々に協調フィルタリングに移行していくハイブリッドアプローチが考えられます。
協調フィルタリングについては以下の記事で詳しく解説しています。

また、コンテンツベースのレコメンドと協調フィルタリングの違いについては以下の記事で詳しく解説していますのであわせてチェックしてみてください!

ベイジアンアプローチ
またベイジアンアプローチも考えられます。
新規ユーザーやアイテムに対して、事前分布(Prior Distribution)を仮定し、データが増えるごとに事後分布(Posterior Distribution)を更新していきます。
転移学習・半教師学習の活用
機械学習において、過去のタスクで学習した知識を新しいタスクに転用できる転移学習や、観測されたデータと観測されていないデータ両方を使用し、少しの観測されたデータを用いることで、観測されていないデータを学習できる半教師学習が挙げられます。

コールドスタート問題 まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございました!
本記事ではコールドスタート問題についてまとめました!
コールドスタート問題では主にレコメンドに関わる話が多いので、こちらの協調フィルタリングの記事やレコメンドのアルゴリズムも見てみると良いでしょう!


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